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ミハマシックスS2 Mihama Six S2

2022年5月17日 記

同人誌 『ミハマシックス物語』執筆の際にもご協力いただいた、静岡県下田市のカメラ店、しゃしんはうす店主様よりミハマシックスS2型の画像をご提供いただきました。各部の写真を掲載します。

ミハマシックスS2について

ミハマシックスS2は、『写真サロン』1957年8月号に広告が掲載されたスプリングカメラです。同広告以外には資料が存在せず、実在も知られていませんでした。今回、Yahoo!オークションに出品された本機がおそらく一般に知られた初めてのものかと思われます。

同広告では製造元が、それ以前の駿河精機から「ミハマカメラ」に変わっています。『日本カメラ工業史 日本写真機工業会30年の歩み』(1987年、日本写真機工業会刊)p.345-347の「日本写真機工業会会員の推移」によれば、駿河精機は1956年11月で脱退、それとは別に1957年4月から10月の短期間のみ、ミハマカメラが入会していたとされています。三浜精工/駿河精機とミハマカメラの関係については、今後資料を集める必要があると考えています。

ミハマシックスS2 外観とスペック

Mihama Six S2 Mihama Six S2 Mihama Six S2 Mihama Six S2 Mihama Six S2 Mihama Six S2 Mihama Six S2
Spec
レンズ
Lens
C.LAUSAR Anastigmat 80mm F3.5
シャッター
Shutter
MIHAMA B 1-1/400 with self timer
フォーカス
Focus
連動距離計内蔵 全群繰り出し
built-in coupled rangefinder / unit focusing
ファインダー
Finder
逆ガリレオ式、645判時の指標あり
reverse Galilean type
フィルム送り
Advance
66判:スタートマーク式のセミオートマット、自動巻き止め
645判:赤窓式
6x6: auto-stop winding
6x4.5: red window
寸法
Dimensions
w: 140mm h:110mm d:48mm / 101mm *1
重量
Weight
不詳
unknown
価格
Price
13,000円 13,000 yen *2
発売年
Release
1957?
出典
Source
*1 しゃしんはうす店主様による実測
*2 『写真サロン』1957年8月号広告 ("Shashin Salon" 1957 Aug. advertisement)

本機の状態・特徴について

各部の特徴を見ると、本機は試作的要素が強い、もしくは少量しか市販されなかったように感じられます。

シリアルナンバーはレンズにのみ刻印されており、ミハマシックスSのようにボディ側にシリアルはありません。シャッターにメーカー名刻印はなく製造元は不明です。ただし、それまでのミハマシックス各機種にはない1/400秒を切ることができるようになっています。

本来はファインダー窓部に銘板が貼り付けられていたようですが、本機では欠品しています。また広告ではフラッシュガン付属がうたわれていますが、こちらも欠品しています。

外観のデザインは大きく変わっていますが、各部寸法はそれまでのミハマシックスとほぼ変わりありません。ただし、それまでの機種にはタスキに「MSK」と刻印されていたのに対し、本機では平滑になっています。
※追記:しゃしんはうす店主様によると、ミハマシックスS型の後期のもの(前蓋外観が異なる)もタスキのMSK刻印は消失しているとのこと。

巻き上げはスタートマーク式、自動巻き止めです。裏蓋には赤窓がありますが、これは巻き止めを解除して、赤窓によりセミ判(645判)での撮影を行うためのもののようです。

ファインダーにブライトフレームはありません。ファインダー窓に見える赤い線はセミ判時の指標です。


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